いつもWリーグに温かいご声援をいただき誠にありがとうございます。
今年も、Wリーグ公式サイト恒例企画として第24回Wリーグにおける「アウォード」および「リーダーズ」の表彰者のインタビューを掲載いたします。
表彰者それぞれに2022-23シーズンを振り返ってもらいました。
渡邊 諭(レフリー)
アウォード【レフリー オブ ザ イヤー】2年連続2回目
──2年連続受賞の率直な感想をお願します。Wリーグの選手たちは変化がありましたか。
渡邊:昨年と同じく、やはり各チームの監督やヘッドコーチに認められたというのは嬉しいです。毎年思うんですけど、女子の選手は基本的なことを一生懸命やる、そこが(日本の)強さの秘訣なのかなと思っています。そういったところを、レフリーの立場でしっかり見て(判断して)いくことの難しさがあると思っています。
──例えばですが、ユーロステップやゼロステップという言葉が定着しています。時々トラベリングでは、と思ってしまうことがあるんですが?
渡邊:よくゼロステップという言い方をしますが、その見極めはなかなか難しいです。だから、取り上げる(笛を吹く)とすれば、みんなが、はっきり「トラベリングだよね」というプレーについて正しいジャッジをしなければならならないと思っています。足の運びについては、きちんとした見極めはしているつもりですが、Wリーグの選手たちはフィジカルも強くスピードもあり、個人やチームとしてのスキルや戦術・戦略もかなり変化しているなと思います。
──3人の審判がローテーションしながら試合をコントロールしますが、あれは役割が変わるわけですね。
渡邊:変わります。見る場所も変わりますし、近くに審判がいたとしても目の前のプレー(ファウル等)が見えない角度というのもあるんです。それは見えている審判が笛を吹きます。はっきりした触れ合いであれば、3人の審判でカバーし合うこともあります。ただ、目の前のプレーは極力把握しようと努めますし、目の前のプレーは吹き逃さないように心掛けています。
──試合前やハーフタイム、タイムアウトでも審判が話をしているシーンを見かけることがありますが、どんな話をされていますか。
渡邊:コロナ禍でのシーズンということで、タイムアウト時はテーブルオフィシャルの前で手指消毒をまずは行い、次にプレーの確認などを行なっています。試合の流れを意識して、次に気をつけなければならないこと、点差や試合の残り時間、どんなメンバーがコートに居るのか、と目配りをしながら話すことも。次はこんなプレーを仕掛けてくるかもしれない、ディフェンスの当たりが強くなるかもしれない、バスケットは瞬時に変化しますから、3人の意思統一というか確認、とにかく情報を共有することが大事になります。「最終的にこの選手で(得点を)狙って来るかもしれないね」とか……その予想は外れることもありますけど(笑)
──日本の女子バスケットはレベルが上がっていますが、審判が果たす役割をどのように考えていますか。
渡邊:選手のレベルが上がって来ているからこそ、審判もよりレベルアップしなければいけません。どこを(笛を吹かずにプレーを)やらせて、どういうのがダメなのか、それを見極めるのは我々の力量にかかってきます。選手が国際舞台で力を発揮するためにも、審判が果たす役割は決して小さくはありません。私も含め審判がレベルアップしなければいけないと常に肝に銘じています。